医療機器製造販売業

医療機器製造販売業の定義

「製造販売」とは、その製造(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を除く。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品を、それぞれ販売し、貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)を電気通信回線を通じて提供することをいう。(医薬品医療機器等法 第2条第13項抜粋)

製造販売行為= 製品を出荷・上市する行為

つまり、「製造販売」は、「製造」+「販売」ではなく、「製品を出荷・上市する」という意味の薬事法上の用語の一つです。 したがって、医療機器製造業許可を取得した自社製造所で医療機器を製造し販売等する場合だけではなく、医療機器製造業許可(海外製造所においては認定)を有する他社の製造所の医療機器を販売する場合も製造販売です。

ただし、医療機器製造販売業者であっても医療機関に医療機器を販売(賃貸)する場合は、販売業・賃貸業の許可もしくは届出が必要です。

また、厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として、医療機器の製造販売をしてはならない。製造販売業の許可については、下記の表に掲げる医療機器の種類に応じた許可の種類が定められている。(医薬品医療機器等法 第23条2項)

表1: 医療機器製造販売業と業許可区分と有効期間
医療機器の種類 業許可区分 有効期間
高度管理医療機器 第一種医療機器製造販売業許可 5年
管理医療機器 第二種医療機器製造販売業許可 5年
一般医療機器 第三種医療機器製造販売業許可 5年
体外診断用医薬品 体外診断用医薬品製造販売業許可 5年

※リスクが異なる複数の医療機器を製造販売する場合は、リスクの一番高い医療機器の許可の種類を取得しなくてはならない。

医療機器製造販売業の許可基準

(医薬品医療機器等法 第23条の2の2)
次の各号のいずれかに該当するときは、前条第1項の許可を与えないことができる。

  1. 申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。
  2. 申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売後安全管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。
  3. 申請者が、第5条第(3)号イからヘまでのいずれかに該当するとき。

医療機器等の体制省令について

製造販売業の許可を取得するには、「医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令(以下、「体制省令」という。)」に適合することが必要です。(医薬品医療機器等法 第23条の2の2第1号より)

体制省令とは

体制省令とは、QMS省令(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)を遵守するために必要な体制を定めたものです。製品を製造する製造所の製造管理及び品質管理に対する、製造販売業者としての管理体制もその内容に含まれます。
「医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令について」(平成26年9月11日 薬食監麻発0911第1号)

組織の体制の整備について

医療機器等製造販売業者はQMS省令を遵守するための体制を整備する必要があります。 具体的には以下の要求事項を満たす必要があります。

  • 品質管理監督システムの確立【QMS省令第5条】
  • 品質管理監督システムの文書化及び実施並びにその実効性の維持【QMS省令第6条、7条】
    (品質方針・品質目標等の作成については、限定第三種医療機器製造販売業を除く)
  • 品質管理監督文書の管理【QMS省令第8条、第67条】
  • 品質管理監督記録の管理【QMS省令第9条、第68条】

適切な人員の配置

医療機器等製造販売業者はQMS省令の規定を遵守するために、それぞれの資格要件に応じ た以下の人員の配置を適切に行う必要があります。

  • 管理監督者【QMS省令第2条第16項】
    製造販売業者等の品質管理監督システムに係る業務を最上位で監督する役員等
  • 管理責任者(限定第三種医療機器製造販売業者を除く)【QMS省令第16条】
    製造販売業者等の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者
  • 医療機器等総括製造販売責任者【医薬品医療機器等法施行規則第114条の49】
    詳細は下記参照のこと。
  • 国内品質業務運営責任者【QMS省令第72条第1項】
    以下の要件を満たす者
    • 製造販売業者における品質保証部門の責任者
    • 品質管理業務その他これに類する業務の従事経験(3年以上)
    • 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有すること
    • 医療機器等の販売に係る部門に属する者でないことその他国内の品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと

医療機器製造販売業 資格要件

申請者の人的要件

次の事項に該当しないこと。(医薬品医療機器等法 第5条第(3)イ~へ項抜粋)

  1. 薬事法 第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、3年を経過していない者
  3. 上記1及び2に該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から2年を経過していない者
  4. 成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者
  5. 心身の障害により医療機器製造販売業の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

総括製造販売責任者の資格要件

(医薬品医療機器等法施行規則 第114条の49第1項2項、医薬品医療機器等法 第23条の2の14第1項より)

表2: 総括販売責任者 資格要件
許可の種類 資格要件
第一種医療機器製造販売業
・高度管理医療機器
(クラスⅢ・Ⅳ)
・管理医療機器(クラスⅡ)
・一般医療機器(クラスⅠ)

第二種医療機器製造販売業
・管理医療機器(クラスⅡ)
・一般医療機器(クラスⅠ)
1 大学等で物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した者(*1)
2 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した後、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者(*2)
3 医薬品、医療機器又は再生医療等製品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に五年以上従事した後(*4)、別に厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習を修了した者
4 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
第三種医療機器製造販売業
・一般医療機器(クラスⅠ)
1 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した者(*2)
2 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、生物学、工学、情報学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する科目を修得した後(*3)、医薬品  、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に三年以上従事した者(*4)
3 厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
体外診断用医薬品 1 薬剤師

*1 大学若しくは高等専門学校で専門の課程を修了した者とは、機械学科や○○化学科等の具体的な専門課程を卒業している者。
*2 高校で専門の課程を修了した者とは、例えば、xx工業高校で機械科や電気科を卒業している者。
*3 高校で科目を修得した者とは、高校の普通科で物理Ⅰや化学Ⅰを必要単位修得した者。
*4 品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に○年以上従事とは、薬事法上の製造販売業等の許可を取得している事業所での実務経験をいう。

国内品質業務運営責任者の資格要件

(QMS省令第72条第1項)
医療機器の製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす品質管理業務の責任者(以下「品質保証責任者」という)を置かなければならない。

  1. 製造販売業者における品質保証部門の責任者であること。
  2. 国内の品質管理業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。
  3. 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
  4. 医療機器等の販売に係る部門に属する者でないこと。その他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

安全管理責任者の資格要件

(GVP省令「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令」
平成16年9月22日厚生労働省令第135号 第4条第2項および第13条第2項抜粋)

医療機器製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす安全確保業務の責任者(以下「安全管理責任者」という)を置かなければならない。

[第一種医療機器製造販売業]

  1. 安全管理統括部門の責任者であること。
  2. 安全確保業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。
  3. 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
  4. 医薬品等の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

[第二種および第三種医療機器製造販売業]

  1. 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。
  2. 医薬品等の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

Japan MDCは、皆様が抱えられている様々な問題に対して、親身なるサービスおよびサポートを行っている医療機器のトータル・コンサルティング会社です。 是非お気軽にお問い合わせください。

page top